*だから山谷は・・・その2
「だから山谷はやめられねえ」の体験記が書かれた時代背景は著者の年齢から逆算すると平成7~8年頃と思われます。1991~2002年頃のいわゆる「平成不況」「失われた10年」の真っ只中で、バブル景気崩壊後の長期不況の時代でした。路上生活者の急増が社会問題化し、1999年の労働者派遣法改正により、対象業種が原則自由化されました。日雇い派遣をも生み出し、世情で飛び交う格差・貧困社会という問題の萌芽が感じ取れます。この本の著者には帰るべき場所や社会があっても、諸事情を抱えて家庭や家を離れ、長期間山谷で生活し続けた人々はここにしか帰るべき場所がありません。当時よりさらに10数年経過し、高齢化した彼らには、自分を受け入れ、連帯意識を感じる仲間と環境が拠り所であり「やめられねえ」というより「山谷しか居場所がねえ」のが率直なところかもしれません。
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